エベレスト食肉センター日誌

ゲーム制作その他について書きます。

ゲーム制作②~実装まで

こんにちは。

フリーゲーム(実はインディーゲームっていうほうが幅広い気がする)を作りたい人が身内に割といたのと、絵描きとのタッグ素敵ね♪と言われることがあったのでそのへんを備忘録がてらぼんやり書くことにしました。

あくまでぼんやり、こんな形もあるんだーくらいの感じです……

 

分業スタイル

完全分業しています。

エベ(文):シナリオ、プログラミング全般、音の人との打ち合わせ、広報等

荻野(絵):キャラデザ、Live2D、スチル、UI周りなどグラフィックすべて

こんな感じ。絵の工数がやばいので、基本絵に集中してもらうイメージ。

 

企画段階では荻野の『こんな感じのやりたいな』をもらって、僕が設定と物語を吐き出す感じでやってます。シナリオと絵については意見を出し合いますが、基本的には自分の作業に自信もってやる(=あんまり口出ししない)ことにしています。

個人的には荻野のイメージからスタート切るスタイルで今後もやっていきたいと思っています。基本は描きたいキャラクターを描いてもらって、そのキャラクターありきで僕がやりたい話を付けていく感じにするとどっちも幸せになれそうなので。

ちなみに食糧天使は、荻野の「肉屋ってずっと好きなテーマだなー、あと成人男性と小さい女の子のカップリングって好き」というつぶやきから詰めました。

 

スケジュール管理

かっちりと見せかけてゆるくやってます。



上段が荻野(絵)、下段が僕(シナリオ)のスケジュールになってます。

ケツに余裕持たせておいて、押したら押す度にスケジュールのほうを更新していきます。絵の工数が僕には理解できないので必ず「何日でこれできる?」というヒアリングから話を始めました。スケジュールが過ぎても互いに叱ったりはあまりしないようにしていて、ただ『最終的には終わらせてもらうけどね』という相互理解のもとですすめています……ちなみに今、僕のシナリオが14日押している。

『間に合わなかったら捨てるか考える』の部分が個人的にはミソで、こういうのがまあ良くも悪くも納期ありきの制作チームっぽい部分かなと思います。もくもく会を経て『こだわり抜くって素敵だし納期とかじゃないんだな』と思ったりしましたが、1作目はとにかく完成させた!という成功体験重視がいいのかなと個人的には思っています。

完成してくれ。頼む。

 

実際の流れ

①オファー:「肉屋」「成人男性&少女」

②シナリオの骨組みができる

③キャラデザができる

④プロット作成&エンディングパターン共有

ここまでが一晩でやった部分。その時にエナドリでバッキバキになって徹夜しちゃったので、サークル名を『バキバキレッドブル』にしました。そのときにブロットをガンガン書いたノートがあって、アップしようとしたのですがどっかやっちゃいました。

⑤締切決定(7/30)

⑥スケジュール確定

⑦各自頑張る、何か出来たら共有

……以上でも以下でもなくてびっくりしましたがこんな感じです。

 

企画部分で意識したことは下記です。全部《納期までに作り上げること》を前提にしていますが、納期があろうとなかろうと一作目では意識して良かったと思います。

①キャラクターを最少人数(2人)に

②背景を最小枚数(3枚)に

③スチルを最小枚数(エンディングのみ)に

④Live2Dの表情・モーションは必要最低限に

⑤上記を絶対条件にして一番面白い話になるように

前提として、弊チームのイラスト担当である荻野は職業イラストレーターであり、一日の作業時間の長さも加味すると凄く筆が早いです。それでも《枚数をがっちり絞る》のは意味があったと思います。

本人はもくもく会の参加を経て『もっと凝れた……!』と言っているしその心はマジ大事だと思うんだけど、小説を触った人なら知っていると思う……一作目がいかに《終われないか》を……。

一作目ってマジ終われたら満点。終わりたい。

 

ティラノビルダーを使ったプログラミング

簡単。

Excelを使ってシナリオを作ります。

ティラノビルダーにぺたぺた貼り付けていきます。まとめてのコピーペーストができないので、この段階での構成変更ができないのがけっこうネックです……。

Live2Dは有料版のみだったので、だいたい1400円で買いました。

完全に見たままですが、上の状況で『Live2Dを読み込む』『背景出す』『読み込んだLive2Dを出す』『メッセージが出てくる枠出す』『暗転が終わって全部でてくる』になります。ボタンをドラックして配置するだけという簡単さに痺れる。

ティラノビルダーをやってみてからここが微妙に足りない!って部分があって他のツールを使ってみたいなと思っているんですけど、一旦触るにはティラノビルダー最強って思った。敷居が低すぎる。

 

Live2Dの表情やモーションもこんな感じで見ながらつけられます。

僕のPCにはLive2Dが入っていないのですが、データだけもらえばちゃんとゲーム内で動いてるところが見られました。Live2Dを買う人もいると思うので当然っちゃ当然ですが、シナリオの人との分業は問題なくできるよ~ということで。

ただ、モーション&表情の書き出しはVtuberのもの(モーションキャプチャのもの)とは勝手が違うようで、そのへんの情報も少ないらしく、荻野が苦労していました。動画で書き出す的な……ここの苦労はちょっと僕にはわからないです。

動画載せるのが面倒なので載せませんが、表情3パターンモーション3パターンでも組みあわせでだいぶ気持ちいいです。

 

終わりのお気持ち

いろいろ言ってきたけど共同制作は大変だなーと思います、シナリオだけやる!絵は任せた!の分業をやる前に、絵は描いてみたほうがいいしマジで描けない場合は買ったほうがいいと思う。

スチル1枚にしてもLive2Dひとつにしても膨大な時間がかかり、それ売ったら合計何円?と考えると無償で絵描きの力を借りるってヤバいことだなっていつも思うしそれがわかんないで絵を無料でもらうのは本当にやめたほうがよさそう。

スチル1枚5万円、Live2Dもつくと考えると……うっ頭が。

だから、基本は絵描きの工数に報いることができるような話を書いていきたいと思うんだけど、絵を描いてくれてありがとう!僕なんかの話に!みたいな気持ちでいてもテンション上がんないと思うんで、お前の絵を最高に輝かすのは僕の話だよ、くらいの気持ちで……いられるように気を引き締めて鍛錬していきたいしマーケティングもちゃんとこだわりたい。

絵描きと文字書きって相性がいいようでいて、別に良くない気がするしね。日本語なんて誰でも書けるし、それを超えたシナリオの価値って(専門家が見ない限りは)ほぼ好みなんで。こんなシナリオのためになんでこんなに頑張んなきゃいけないの?って思った瞬間全部マジ辛くなると思うんで、絵の人は惚れ込めないシナリオに絵をあげないほうがいい(売るのはいいと思う!みんな命助かる)。

シナリオを軽視しているわけじゃないんだけど、とにかく絵って大変だと思ってる!……し、絵って大変!ッて強めに思ってない状態で絵描きとチーム組むのはいろんな意味で苦労する気がするなあ。どんなに制作が極まってきてもそのへんは忘れないようにしたいです。

もくもく会でPVのアドバイスを頂けて嬉しかった話

もくもく会ってやつに行ってみたかった

今日は某所のもくもく会に参加してきました。

皆さんとても優しく接してくださり、エベレスト食肉センターとかいう馬鹿みたいな名前で名札を作らなくて本当に良かったです。一旦『エベ』で名乗りましたが、日本には江部さんとかいるしギリギリ『大丈夫』でいられた……と思います。

 

知人にゲームクリエイターがいたこともあり『もくもく会』の存在は前から知ってて。その人がいつも「学びがあった!」とか「すごい人に意見をもらえた!」とか、とにかく毎回楽しそうに参加していたので『ゲームを作れるようになったらもくもく会に行ってみたい』という気持ちが強く……一方で『エンジニアたちの楽しみ』だと思っていたので、ティラノビルダーしか扱えない状態で参加するのはドキドキでした。

でも実際に参加してみたら、別のツールの画面を実際に見せて頂いたり、LIVE2Dやシナリオ部分の相談に乗って頂いたり、その他のメンタル部分についての話もできたりと……繰り返しになりますが優しく接していただけて本当に嬉しかったです。

今リアルタイムで荻野(絵の人)とカラオケで打ち上げをしているのですが、お気に入りのゲームができたり、改めて動画等を拝見して『いや凄すぎる』などとあれこれ話し合ったりと、いちゲーム好きとしても楽しい時間となりました。

 

あとお弁当とおやつが出て嬉しかった。。

 

プロのクリエイターにPVを見てもらう

感動!

プロは『プロだから凄い』のではなく『凄いからプロなのだ』ということを実感しました。目をとめて頂いたこと褒めて頂いたことが嬉しいのは勿論、僕が逃げた部分のすべてを言い当てられてしまったことは一周回って完全に理解してもらえたようなカタルシスがありました……正直絶対バレないだろう!と思っていたので。。

言い当てられたことが悔しいんじゃなくて『逃げたこと』と『これでいいやと思って突き詰めなかったこと』、つまり、自分がやりきれなかった悔しさが大きすぎて「悔しい!」って思わず叫んでしまいましたね……こんな体験十年以上ぶりでホントにめちゃくちゃ嬉しかったです。改めて全部1から頑張ろう!全力で!って思えた!

 

やっぱり悔しさは何よりのバネですね。そして心から尊敬できる人との出会いがいかほど凄いことかは言うまでもないです……。真剣に見てもらえたことも嬉しかったし、逆に『もっと最高にできる!まだ伸びしろがある!』と僕自身思えたので、リリース時またはリリース後の差し替えだとしても、PVは構成メインでゴッキリ修正かけると思います。前の記事でもちらっと書きましたが、2人そろってメンタル面で停滞してたので令和で一番嬉しかったかもしれない。

 

以下備忘録&荻野に共有しがてら、もし興味がある人がTLにたまたまいたら、、という気持ちで書いておきます。

 

 

動画は上のツイートに貼ってあるもので、コンテはこれでした。

 

縛りは『現状ある素材で制作すること』でした(納期まで48時間しかなかったため)。効果音なども用意する時間がなかったので、フリー素材に音ハメで気持ちよくごまかしてもらっています。そのため『ゲーム画面たくさん出す』とか『スチル入れる』とかは物理的に無理だったので割愛します。

 

ざっくり構成上の狙いとしては

①導入:疑問スタートの引き

⇒最重要なので一旦『なんかいいポエム』で置いておき、検討の後に入れてもらいました

②離脱防止:キービジュアルのパン&リンの表情差分・BIGSMILE

③情報提示A:舞台設定、B:主題(天使の肉)、C:おおまかな展開

④プレイに繋げる引き・謎:壊れグラフィック(のっぺらぼう)

……こんな感じでした。

 

実際にいただいたアドバイスとして一番有難かったのは

『④の壊れグラフィックは要らないんじゃないか』という客観的な視点。

ショッキングなシーンを入れることでプレイに繋げられるかなと思ったのですが、ちょっと「こういうの作ったら面白いかも、Vtuber流行りだし♪」というゲームに関係ない欲が出て、これは自己満足なのではないかと指摘されてハッとしました。

 

効果意識の理詰め構成なのですが、動画上のストーリー部分に視点を置くと

①幸せってなんだろう(といかけ)

②天使が肉になるらしい(情報提示①)

③主人公が天使を殺すらしい&肉屋で働いているらしい(情報提示②)

⑤天使の肉が人を幸せにしているらしい(情報提示③)

⑥天使は積極的に殺してほしいらしい(情報提示④)

⑦のっぺらぼう⇦今までの流れとは全く関連性がない!

……というわけで、文章にしてみると『どう見ても要らない』んですよね。。

つまりあの動画は(情報提示の基本を押さえているため大外れではないものの)、動画見てよ!最後まで見てよ!まんまとゲームやってよ!という製作者の「これやってよ!(エゴ)」で出来ていて、視聴者の視点(コンセプトを理解したい心)には則っていないということになっていると思います。

 

それに付随して《あえて壊したLIVE2Dを演出として使用する》という仕様を急遽変更をすることにしました。ゲーム『食糧天使』はリンの内面に比重を置く作品なので、突然《実際に生きているはずの》人間の顔が壊れるというのは無意味でありプレイヤーを置いてきぼりにする行為だと納得したからです。

プレイしてもらいたいという気持ちが先行して、ゲームの主題や雰囲気をないがしろにしてしまった……ッて今はわかるけど本当に言われるまでわからなかったんだ!

 

一方で逃げた部分としては

①なんかいいポエム(導入)

⇒動画では「ねえ、幸せって何でできてると思う?」にしたんですが、これは《セオリー的にこうしておけばいいやろ》と逃げた部分だったので、別の場所に置いたほうが伝わりやすいとアドバイスをいただいて納得。

②人々の幸せにするという天使の肉を×××する

⇒「幸せ」の表記が甘い(一文の中で浮いている)というのを聞いてくううとなった部分。情報提示にとどまっていて、表現についての思考が足りなかったと反省!

③キービジュアルの位置

⇒最初に使うより、ある程度情報提示が済んでからのほうがインパクトがあるんじゃないか?と言われてウワァー本当にそうだ。と思った部分。ただこれに関してはTwitterというプラットフォームに限定すれば早出しが効いていたとも思うので『Twitterでたまたま見かけた人のため(離脱の可能性・高)』ならこれで正解、ただ『プレイしてみようかなと思っている人(離脱の可能性・低)』に向けてだったらもっと凝れる!というのが僕の中での結論です。あれは早出しの価値があるくらいインパクト強いキービジュアルだと思うから(荻野、ありがとう)。

 

その他、ビジュアル部分や音、文字演出などさまざな視点からアドバイスをいただいて、とても貴重な時間でした……何度でも繰り返しますが嬉しかった。悔しいと思えることも、僕たちはまだまだ成長できるんだと道を照らして頂いたことも。

もくもく会ってすごいな!また行きます。

 

 

ゲームを作り①~愛をとりもどせ!~

はじめまして。エベレスト食肉センターです。

ブログを書こうとして続いたことが本当に一度もないんですけど、性懲りもなくまた作ってみました。ブログを続けるためにも、たいしたことを言わないことと、一生懸命書かないことを意識していきたいです。肩肘はると飽きる、マジで

 

といことで今はゲームを作っている。

 

 

PV見た?見てない?見といてね。面白いと思う。

 

自己紹介をする

 

自己紹介なんて誰も求めてないから面白い話だけ出しておこうよ(その話すら別に誰も求めていなかったりもするのが創作のしんどいところだな)という感じですが、僕は基本的に友達が欲しいし、別のアカウント(もう少し楽しそうなアカウントがある)から来た人には、ここでの僕がいったいどういうスタンスでやってくか伝わるといいかなと思い、書きます。

『エベレスト食肉センター』はエからーまでまとめて名前です。

ずっと文章を書いてきたんですが、まー自分の書いたものを人に見せるのって恥ずかしいよね。その割に苦労ばっかりするし、アウトプットが大変。だから僕は小説を書いて人に見せることについて『自分の内臓を出す苦しみ』と比喩していて、自分の内臓を人に見せて飯を食おうとしているので「それって肉屋」ということになってこうです。

エベレストはなんか……山田精肉店とか青山精肉店とか、とにかく山をつけたいなと思ってるときに、荻野(一緒にゲームを作っている)に『一番高い山にしな』と言われてエベレストになりました。エベさんという愛称がオキニなので、エベレスト食肉センター御中と呼びかけるのが面倒なときはそう呼んでください。

やってきたことは趣味レべルならいろいろ。俳句とか最近やってて、逆にマジで一度もやったことないのは舞台の台本とエッセイです。好きなものはメカ。

オフの超元気な僕を知る人からするとこのテンションはキモいかと思うし、実際かなり人間のことが好きなほうですが、いつも気さくにしゃべりすぎるあまりMPを使い果たして自爆しがちなので一旦こんな感じでいこうと思います。イベントにも出たいと思っているので、そこで延々とつきまとわれるようなことになるのも、教えてやろうマンに目をつけられるのも、マルチに勧誘されるのも正直御免被りたい……なんて、この文章にドキッとしたような人はきっと良い人だろうと思うので、ぜひ気さくに話しかけてください。

自省できる人はいつだって大丈夫な人間だ。

 

一回目なのでもう少し書いていきます。

二回目は絶対に頑張らないからな。

 

最初にぶちあたった壁『愛をとりもどせ!』

ブログまで見に来てくれた人たちに謙遜しても仕方ないので赤裸々に話しをしますが、ノベルゲームを作るということは僕たち(シナリオの僕と絵の荻野)にとってさして難しいことではなかったと思う(プログラムの話は今しないでくれ、プログラミング力は必要としないツールを使っているから)。

技術は売るほどあった。

だから、シナリオで苦労したってこともないし、キャラデザで苦労したってこともないし、Live2Dもさほど苦労していない(実装段階でトラブルはあったけど制作はトントンと進んだ)。頑張って手を動かすという意味ではクリエイターなら全員そうだと思う。

だから、苦労等はともかく『技術的にできない』ことはないなかで、僕たちが壊滅的に躓いたのが『愛がない』ということで、それだけは書いておきたかった。

 

愛がない。

あえてポエミーに書くとすれば、昔は愛という水がジャブジャブ溢れていたオアシスを心に持っていたはずなのに、なんかふと見たら一面が砂漠だったような絶望。それに気づかなかったことに驚愕し、2人で顔を見合わせてもどうすることもできない。

好きなものもない、表現したいものもない、描きたいキャラクターもいない。ちょっと好きかもしれないという人やものがあっても、それはイメージに留まり、過去の『好きだった』の焼き直しにすぎない……ということに気付くだけの繰り返しだった。

両手には必要十分な(有り余る、というほど天狗にはなれない)技術があり、かつて好きだったもの――たとえば高校時代に何度先生に叱られてもやめられなかった授業中の落書き、溢れて溢れて止まらない物語を書き出すのにタイピングの速度が足りなかった時間、そういうときに作っていた世界、人々、今の技術で出力し直したら気持ちいいのではないかと思ってなんど試してももう砂のようで色すらない。

信じられないことだった。

形はどうあれずっと創作に関わってきた僕たちである。

作ろうと思えばキャラデザが出来るし、作ろうと思えば物語が出てくるわけで……それなのに何にものめりこめない。僕はうっかりというか試しにというか、好きになりたくて作った設定で4万文字の小説を一本書いたが、感慨としては『で?』以上でも以下でもなかった。

……わかってもらえると思う。何か書いたり描いたりしてきた人には、誰でもあるだろう、あの宝物と呼べそうな時間の全部。あの時作っていたものには、きっと果てがなかっただろうと思う。たとえ物語が終わっても作った人々はどこかで生き続けていたと思う。でも今の僕が作ったのは時間制限つきの自動人形程度のもので、お上手に物語を再生することはできても、話が終わったら終わり。誰も思い出さないし、悲しいことに作り手であるところの僕が一番思い出さなかった。

上手に書けた、ただそれだけ。

正直なところ、別にそれでもいいし、ぶっちゃけ上手に書くにはそのほうが都合が良い。ただ完全な趣味で何かを作るとなると話が違ってくる。膨大な時間をかけて何かを作るためには、愛がないと無理だ。だってそれ以外に何の報酬もないのだから。

 

本件、本当にジタバタした。

僕たちはもういい大人なので、正直言ってボカロ曲って寒い。なろう系も俺強も寒い、アニメもだいたい寒い、やりこんでたはずのゲームも全部もうどうでもよくて、かつてはあんなにきらめいていた自分の創作なんざ恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて外になんか絶対に出せないし誰にも見せたくないし話題にも出してほしくないしそんなことより人生ちゃんと歩んでる友達のビジネストークのほうがまだ有意義に思っていた。

いろいろ考えた。砂漠のスケルトンになった僕に書けるものなんてせいぜい大学生の恋愛が関の山的な恥ずかしさで、主人公の男が肉屋だとかヒロインの女が天使だなんて話は正気では書けない。マジ、さみーんだよそういうの、いい年して……脳裏でそういう声がする。

そして至ったのは、大人の僕らってマジで今正気なのかという話。

ボカロ寒くないよ。かっけーよ。天使寒くないよ。かっけーよ。アニメおもれーし俺強ってきもちーし剣と魔法の世界にできればいきてーよ。だって昔大好きだったじゃん、秘密結社やったらいいじゃん、謎の組織攻めてきたらいいじゃん、そういうのってちょーいいじゃん?楽しくね?なんか好きじゃね?好きだったよな、お前。

……そういうカンジ。

それから大人の僕らにとっては地獄の、ガキの頃の自分を思い出せば楽しくてたまらないリハビリを始めた。

聞くのはボカロ。歌うのボカロ。

この曲って俺らのイメソンじゃね?

……ボーカロイド曲には恨みはないどころかかつて死ぬほど好きだったので、大人になって砂漠に突っ立ってるスケルトンとなったところの僕らを、愛でジャブジャブのオアシスになんとか連れ戻してくれんものかと頼った次第である。

一生ものの愛とか恋とかさあ。

自分だけが孤独とかさあ。

殺したいくらい好きとかさあ。

世界が僕らだけのものだとかさあ。

そういう気持ちにしてほしかった。

そうでなければ一生僕たちは砂漠で文章や絵のようなものをかきつづける悲しきスケルトンであるような気がした。本物の愛なんかない。本質的な孤独なんかない。人はそんなに簡単に死なないし人を殺さないし死んだところで世界は全然フツーに回っていくなんてことは、絶対に知ったらダメなことだった。

誰かの愛に「寒(笑)」って言う度に自分の中から愛が欠如していっていることに気が付かなかった。言った悪口は必ず自分に跳ね返る。自分が作ったもののすべてが『寒かった』んだ。僕らは。

 

そんなわけでボカロリハビリをしつつ、砂の色をした自分の創作を反吐りながら作って、寒いを禁句にしてとにかく褒め合う活動をした。滑稽である。いい大人が二人膝をつきあわせて「これは吸血鬼♡」「いいね♡」みたいな話を日がな一日やっている。

付け焼刃で作った《創作っ子》なんて正直可愛くもなんともない。でもたまにちょっとだけいいなと思ったりして、生きているような気がして、そのちょっとの姿を追い求めてとにかく褒め合う。褒めちぎる。「こういうの寒いんだ」で縮こまっていた脳を叩き起こす。そういう虚無の時間、毎日なんとなく「何をやってんだろな」と言い合って、即座に「絶対に意味があるはずだ」と否定しあったりして。

――その姿は寒いか?(※あまりにも社不ではある)

寒いと思った人は振り返って欲しい、あなたの世界もきっと砂漠になっている。

 

そんなことを繰り返し、思い返せば整ってきたと思う。最近ボカロ曲かっけーと思うし、他人事すぎてやるのが苦痛だったRPGもプレイできるようになった。「お願い時間をとめて 泣きそうなの でも嬉しくて死んでしまうわ」と聞いてサブイボに身を踊らせながらイヤホンをぶっ壊すこともない。だって愛というものは世界にあるのだから。僕はそれを信じられるから、尊いと思うことができる。

そこまでわかってしまえば、あとは書くだけだった。別に僕が特別に何かをする必要はないし、上手く書く必要もない。肉屋の青年・リンは生きていて、そこに訪れた天使のリゥ・リゥも生きていて、僕がやるべきことはいっちゃん刺さる彼らの人生の一部分を、ゲームの尺にカットするだけの単なる作業だ。

 

ああだから、ゲームをしたら、寒いのかもしれないよ。

主人公はやれやれするし、天使も出てくる。でもそれはそこに『ある』から、それを信じてくれるなら、尊いものをきっとあなたがたの心に残すと思う。でも砂漠のスケルトンであったところの僕らが、今の僕らが作ったゲームを見たら、きっとサブイボに踊ってスマホ叩き壊して「クッソ寒い」って笑ってすぐ忘れる。まあ別にそれでもいいけど。僕は大人がそうなっちゃう理由もちゃんとわかってるから。

 

とりあえずこんな感じ。脈絡ないかもしれないし、別に上手いこと書いてないかもしれないし、誤字脱字やってるかもしれないけど特に整えない。このブログの目標は僕が頑張らないこと、それ一点だから。読んでくれた人はありがとう。